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トリートメントはしなくてもよいのか知りたい
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トリートメントにはどんな容器を用意すればよいのか知りたい
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トリートメントを実施する期間を知りたい
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トリートメントの方法を知りたい
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トリートメント時に薬や塩を入れるべきか知りたい
熱帯魚のトリートメントについて、これらの疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか?
実はトリートメントは熱帯魚を購入したときに必ず行わなければならない作業ですが、方法を間違えると購入した熱帯魚だけでなく、飼育水槽内の生体すべてに悪影響を及ぼす可能性があります。
なぜなら正しくトリートメントを行わないと病気や寄生虫がそのまま飼育水槽内に侵入し、蔓延してしまう可能性があるからです。
この記事では3~6cm程度の小型の熱帯魚における正しいトリートメントの方法をコリドラスを例に実演し、サテライトを使う場合と水槽を使う場合の2パターンで紹介します。
この記事を読むと正しくトリートメントができるようになって、熱帯魚の新規導入時のトラブルが圧倒的に少なくすることができるようになるよ
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トリートメントは病気や寄生虫の侵入を防ぐために必ず実施する必要がある
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2匹までならサテライトL、3匹以上ならトリートメント水槽を使用するとよい
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トリートメントの実施期間は1週間を目安とするとよい
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調子の良い個体に薬浴は逆効果のため、調子が悪く原因が判明した個体にのみ薬浴する
トリートメントとは熱帯魚の体調を確認する期間
購入したばかりの熱帯魚は病気にかかっていたり、寄生虫に寄生されている可能性があります。
信頼できるショップから購入することで、病気や寄生虫に寄生された熱帯魚を購入してしまう確率を下げることができますが全くのゼロにすることはできません。
関連記事>>>元気なコリドラスを見分ける方法
自然界で生息していたワイルド個体だと寄生虫に寄生されている可能性が高くなり、病気や寄生された熱帯魚をそのまま飼育水槽に入れてしまうと、飼育水槽内で蔓延する可能性があります。
対策として、新しく購入した熱帯魚は飼育水槽に直接入れずに別で用意した水槽などの容器に入れて、しばらく病気や寄生虫がついていないかを確認します。
病気や寄生されているとわかった場合は薬浴などの対処をおこなってから飼育水槽に合流させます。
この飼育水槽に合流させる前に病気や寄生虫に寄生されてないかを見極めて対処することをトリートメントといい、熱帯魚導入時には必ず行わなければならない重要な作業です。
トリートメント期間は1週間程度で、生体が病気や寄生虫に寄生されていた場合は高い確率でこの期間内に体調に変化が生じます。
コリドラスを飼うにあたって一番初めに行う大事な作業だよ
関連記事>>>【全ショートノーズ共通】元気に長生きさせるコリドラスの飼い方
トリートメントが必要な理由
寄生虫の侵入を防ぐことができる
トリートメントを行う理由の1つとして寄生虫がついていないかを見極めるということが挙げられます。
例えばコリドラスには通称ピロピロと呼ばれる寄生虫がついていることが多いです。
正式にはダクチロギルスやギロダクチルスと呼ばれる寄生虫で、寄生してから時間が経ち、寄生虫が大きく育っている場合はコリドラスのヒゲや尾びれなどに糸のようなものが肉眼でも確認することができるのですが、寄生したばかりだと小さすぎて確認することはできません。
肉眼で確認できるくらいに大きくなった画像が以下の記事にわかりやすく掲載されております。
外部リンク>>>コリドラスがピロピロ寄生虫に感染した
肉眼で確認できないためトリートメントを行わずに寄生されたコリドラスを飼育水槽に入れてしまうと水槽内に蔓延してあっという間に他のコリドラスにも寄生してしまいます。
寄生虫の成長速度は早く数日で大きくなり肉眼で見えやすくなることと、コリドラスが痒がって体を地面にこすりつける動作をするため1週間程度のトリートメント期間で十分発見することが可能です。
もちろん1週間のトリートメントで100%寄生虫を予防できるとは言い切れませんが水槽内に持ち込んでしまう可能性を圧倒的に減らすことができます。
病気の蔓延予防になる
病気の中には非常に感染力の強いものが存在します。
例えばネオンテトラなどのカラシンにのみ感染するネオン病という非常に感染力の強い病気があります。
この病気に感染したカラシンの治し方は現状不明であり、病気の進行が非常に早く致死率も高い非常に危険な病気です。
しかし、病気の進行が早い故に1週間程度のトリートメントを行えば調子が悪いことがわかるため、少なくとも飼育水槽内の他のカラシンにうつるのを防ぐことはできます。
熱帯魚を購入したらまずトリートメントを行うという癖をつけておくと、病気の蔓延を高い確率で防ぐことができ、飼育水槽内の生体を守ることにつながります。
薬の範囲を限定的にできる
購入した熱帯魚が病気や寄生虫に寄生されていた場合、トリートメントを行っていればトリートメント水槽のみ薬浴すれば対応でき、飼育水槽には全く影響はありません。
しかし、トリートメントをせずに生体をそのまま飼育水槽に入れてしまった場合は、寄生虫が寄生された生体から飼育水槽の水中に移動し、他の熱帯魚に寄生する可能性が高くなるため飼育水槽全体を薬浴しなければいけなくなります。
水槽全体の薬浴は非常にリスクが高く、例えばコリドラスによく寄生しているダクチロギルスやギロダクチルスの駆除にはレスバーミンという薬が効果があります。
レスバーミンは薬浴する水槽内にシュリンプが混泳していると薬の効果で間違いなくシュリンプは全滅しますし、コリドラスにも負担がかかります。
コリドラスはナマズの一種のため薬に弱く、特にまだしっかりと大人になっていない個体はこの薬で死んでしまう可能性が高いです。
薬浴による影響範囲をなるべく小さくするためにもトリートメントは非常に重要です。
熱帯魚の体調を回復できる
病気や寄生虫に寄生されていない個体にもトリートメントは効果があります。
購入時の熱帯魚は運送によって大きなストレスを感じ、体力を消耗しています。
特に通販で生体を購入するとどうしても輸送時間が長くなり、そのまま飼育水槽に入れると水流やほかの熱帯魚との混泳によってさらにストレスを感じ、弱ってしまう場合があります。
しかし、最初にトリートメントを行い栄養の高い餌を与え、体力を回復させることによって飼育水槽導入後も元気に過ごせるようになります。
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トリートメントを行う理由は寄生虫の侵入防止・病気の蔓延防止・薬浴範囲の限定・体力の回復の4つ
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トリートメントの期間は1週間程度が目安
サテライトを使ったトリートメント方法
サテライトのLサイズを用意する
トリートメントを行う生体がコリドラス程度の大きさ(3~6cm)の熱帯魚の場合は数が1~2匹であれば、トリートメント水槽としてサテライトLを使用するとよいです。
サテライトは本来は飼育水槽に掛けて使用し、飼育水槽の水を共有することでフィルターやヒーターなどの設置が不要になり、稚魚などの小さな生体を簡単に飼育することができる商品です。
トリートメント用水槽として使わない場合でも、使い道が多いので1個は購入しておくと便利です。
関連記事>>>サテライトでの薬浴方法
関連記事>>>コリドラスパンダの稚魚の育て方
サイズがS、M、Lとありますが3~6cmの熱帯魚にはLサイズ以外は小さすぎますし、SやMサイズは稚魚の飼育くらいにしか使いどころがなく、Lサイズでも稚魚飼育は問題なくできるためLサイズが一番幅広い用途に使えておすすめです。
サテライトLには容器の内部を3分割できるように仕切りが付属されていますが、トリートメント時には排水部の仕切り以外は必要ありません。
上の画像のパーツは不要。下の画像のパーツだけ付けておこう
サテライト内にシェルターを設置する
すべての熱帯魚に必要なわけではありませんが、底物などの物陰に隠れる習性のある熱帯魚の場合はサテライト内に隠れる場所がないと落ち着かないためシェルターを入れてあげるとよいです。
トリートメント時は急に環境が変ることでストレスを感じやすいので、少しでも落ち着く環境を作ってあげましょう。
泳ぎ回るような熱帯魚の場合はシェルターにぶつかって危険だよ。シェルターが必要かどうかは、熱帯魚の特徴によって入れるかどうかを決めてね
シェルターは100均にあるようなもので問題なく、サテライトにはスペースに余裕がないため小さなものが好ましいです。
ただし100均は商品の入れ替えが激しく、現在では上記画像のような丁度良い大きさのものが購入できない可能性が高いため、水草で代用するのも有効です。
水草はウィローモスが育成が簡単ですぐに大きくなるためおすすめで、ちぎって入れるだけで簡単に隠れ家を作ることができます。
関連記事>>>【100均で十分】コリドラス水槽における隠れ家の役割と重要性
熱帯魚をサテライトに移してから飼育水槽に設置する
シェルターを入れたらサテライト内に熱帯魚を移動させます。
水は購入時に熱帯魚が泳いでいる水をそのままサテライトに入れれば大丈夫です。
熱帯魚を移し終えたらサテライトを飼育水槽に設置します。
ポイントは通常の取り付け方とは逆向きのサテライトの容器側が飼育水槽の水に浸かるように取り付けることです。
購入したばかりの熱帯魚は病気や寄生虫に寄生されている心配があるため、サテライトを逆向きにつけることで購入した熱帯魚の水と飼育水槽内の水が混ざらないようにします。
水が跳ねたりして飼育水槽の水と混ざるのを防ぐため、サテライト付属の蓋をしておきましょう。
この取り付け方をすることでサテライト自体は完全に隔離された状態で飼育水槽内の水温がサテライト内に伝わるためヒーターなどサテライト内の水温管理が不要になります。
水換えは毎日行う
サテライトを用いたトリートメント方法は完全に隔離された空間を作っているため、サテライトLの少ない水量(2ℓ)の中で熱帯魚が生活することになり、フィルターも設置していないことから水質が悪化しやすいというデメリットがあります。
対策として、この方法でトリートメントを行う場合は毎日水換えをする必要があります。
熱帯魚の糞などの汚れは底に蓄積するため、水換えはスポイトでサテライトの底の方から糞や汚れと一緒に水を吸い出しましょう。
シェルターの隙間に汚れが溜まりやすいから注意が必要だよ
水換えの量はサテライト内の水の1/4程度を目安に捨てて飼育水槽内の水をサテライトに補充してください。
気を付けてほしいのはサテライト内の水を捨てたあと、同じスポイトで飼育水槽の水を吸い上げるとサテライトの水が飼育水槽内に混ざってしまいトリートメントの意味がなくなってしまいます。
一度スポイトを洗うか別のスポイトを使うようにしましょう。
スポイトは長いものと短いもの2本を水槽の深さによって使い分けて使うと便利だよ
洗う場合は水道水でスポイト周りと内部に何度か水を含んで捨ててを繰り返せすようにしましょう。
トリートメントが終了して熱帯魚を飼育水槽に移すときは水合わせを行うことが望ましいですが、毎日水換えをしていれば水質の変化に敏感な生体でない場合はそのまま移動することもできます。
餌の量は少なめに与える
サテライトでトリートメントを行う場合は水量が少ない中で熱帯魚を飼育することになります。
水量が少ないと水質悪化が起こりやすいため餌の量は少なめに与えるようにしましょう。
熱帯魚を購入した当日は大きなストレスがかかっており、餌を与えても消化不良を起こす可能性があるため餌は与えない方が良いです。
次の日からは5分以内で食べきれる程度の少量の餌を1日1回与えましょう。
与えすぎてしまったり5分過ぎても餌が残っているようであれば取り除くようにしましょう。
熱帯魚の種類にもよりますが、コリドラスは本来数日程度なら餌を与えなくても問題はないため、トリートメント中は餓死のリスクよりも水質悪化によって体調を崩すほうがリスクが高いです。
病気や寄生虫を確認するはずのトリートメントのせいで病気になってしまっては本末転倒です。
与える餌はすぐに食べることができる顆粒の餌か、食いつきが非常によく水も汚しづらいブラインシュリンプを沸かして与えるのがおすすめです。
関連記事>>>ブラインシュリンプの孵化方法(皿式)
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ヒーター・フィルターの設置や水合わせが不要で場所もとらないことが大きなメリット
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水量が少ないため水質悪化に注意が必要
トリートメント水槽を用いたトリートメント方法
トリートメント水槽を用意する
3~6cmの小型とはいえ3匹以上の熱帯魚を一度にトリートメントするにはサテライトでは小さすぎるため、トリートメント水槽を用意する必要があります。
トリートメント水槽とはトリートメントのために飼育水槽とは別に用意する専用水槽です。
生体の長期飼育自体を目的とはしていないので場所のとらない小さめのものでよく、スリム水槽や虫かごなどがおススメです。
トリートメント水槽を新たに用意する場合はフィルターも必要になりますのでセットで販売されているものを購入すると安いです。
飼育水槽の水をトリートメント水槽に移す
すでに立ち上がった水槽がある場合は飼育水槽の水にはしっかりとバクテリアが繁殖しているため、トリートメント水槽にも移して使うことでフィルターにバクテリアが定着する期間を短縮することができます。
飼育水槽にまだしっかりとバクテリアが繁殖した水がない場合はカルキ抜きした水でもよいです。
関連記事>>>【熱帯魚飼育の基本】水道水から簡単にカルキを抜く方法
ホースやバケツを使ってトリートメント水槽に水を移しましょう。
ホースやバケツは熱帯魚の飼育に必須なので揃えておく必要があります。
関連記事>>>【コリドラス飼育セット】熱帯魚初心者が準備しておくべき道具14選
フィルターをトリートメント水槽に設置する
トリートメント水槽を用いてトリートメントを行う場合はスペースに余裕があり、飼育する熱帯魚の数も多くなるためフィルターを設置します。
フィルターはろ材にバクテリアが繁殖していないと機能しないため、新品を取り付けても水槽内の水はしばらくろ過されません。
飼育水槽に普段からトリートメント水槽用のフィルターを1つ余分に稼働させておき、トリートメントのときにトリートメント水槽に移動するようにするとすぐにフィルターとして機能するため便利です。
フィルターは移動が容易な小型のものが良く、外掛けフィルターやスポンジフィルターがおすすめです。
飼育水槽に設置している間もサブのフィルターとしてろ過能力向上の効果があります。
関連記事>>>サブフィルターはコリドラス水槽に必要か?
関連記事>>>相性抜群!コリドラス水槽にスポンジフィルターを設置するメリット6選
飼育水槽から移動できるフィルターがない場合は、とりあえず何かしらのフィルターは設置するべきですがバクテリアの定着には時間がかかるため、ろ過という面ではあまり期待できません。
ろ過できるフィルターがない場合はトリートメント水槽の水量を多めにして、2日に1回は1/3を水替えするなど、こまめに水替えをして対応する必要があります。
ろ過能力のあるフィルターが準備できるかできないかで手間が全然変わってくるよ
ヒーターと水温計を設置する
サテライトでのトリートメントとは違い、トリートメント水槽は飼育水槽とは完全に独立した水槽になりますので、冬場などの温度が下がる時期にはヒーターを取り付ける必要があります。
ヒーターは水槽の水量に適したものを設置しましょう。
関連記事>>>基礎から解説!コリドラス水槽に適したヒーターの選び方
日々の水温管理のためにも水温計も忘れずに設置します。
関連記事>>>アナログとデジタル水温計はどっちがいい?熱帯魚水槽におすすめの水温計
熱帯魚を水合わせする
購入した熱帯魚が泳いでいる水とトリートメント水槽の水の水質は異なるため、そのまま水槽内に入れてしまうと水質の変化で熱帯魚がびっくりして大きなストレスとなってしまいます。
そのため購入した熱帯魚を水ごとバケツなどに移して、トリートメント水槽の水を少しずつ混ぜることで熱帯魚を新しい水質に慣らしてあげる水合わせという作業をしてあげる必要があります。
水合わせには方法がたくさんありますが最もコリドラスに負担のかからない点滴法での水合わせがよいです。
関連記事>>>コリドラスに負担の少ない水合わせ方法
水合わせが終わったら熱帯魚を網ですくってトリートメント水槽に入れたら完了です。
トリートメントが終了して熱帯魚を飼育水槽に入れるときは、再度水合わせを忘れずに行いましょう。
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ヒーター設置やフィルター設置、生体の水合わせが必要で最初に手間がかかる
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ろ材にバクテリアの繁殖したフィルターがないと非常に面倒になる
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一度立ち上げてしまえば飼育水槽と同じように管理できる
トリートメント時の塩浴と薬浴
トリートメント時の薬浴についてはメチレンブルーやグリーンFゴールド顆粒などを使用してどんな個体にも必ず薬浴を行う方もいらっしゃいますが、当ブログでは体調を見極めて問題のない個体には薬浴しない方法を推奨します。
理由としては、健康な個体に薬浴することは熱帯魚にストレスがかかりますし、なんの病気かもわからず薬浴したところでその薬が効くかどうかもわからないからです。
当然、トリートメントの途中で明らかに病気で、病気の種類も判断できれば薬浴を実施します。
熱帯魚の調子が悪いようであれば、まずは様子をしっかりと観察して病気の種類を明らかにしましょう。
調子が少しおかしいが、なんの病気かわからない状態であればトリートメント期間を延長します。
まぁいいやと考えて飼育水槽に入れてしまうとトリートメントを行っている意味がないので注意しましょう。
また、サテライトで薬浴を行う場合は水量が少ないため、薬の量に十分気を付ける必要があります。
関連記事>>>サテライトでの薬浴方法
まとめ
トリートメントは新規で購入した生体に対して調子の悪い個体がいないかを確認することをいいます。
新しく熱帯魚を購入した場合は必ず1週間程度トリートメントを行うようにしましょう。
正しい方法でトリートメントを行わないと購入した熱帯魚だけでなく、飼育水槽内の生体すべてに悪影響を及ぼす可能性があります。
トリートメントの方法は体調3~6cm程度の小型の熱帯魚であれば2匹以下ならサテライト、3匹以上であればトリートメント水槽でトリートメントを行うとよいです。
飼育水槽内に寄生虫や病気が蔓延してしまうと対処が非常に大変になってしまうため、トリートメント期間中に熱帯魚の体調をしっかりと見定める必要があります。
というわけで、みなさまのよいコリドラスライフを祈っております。