-
ブラインシュリンプを手間をかけずに沸かす方法を知りたい
-
少量のブラインシュリンプを長期的に与えたい
-
エアレーション式と皿式の違いを知りたい
-
皿式でもなるべく多くのブラインシュリンプを沸かす方法を知りたい
-
ブラインシュリンプの孵化率が悪いため改善したい
このような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?
実はブラインシュリンプは与えるのがめんどくさくなりやすい餌です。
なぜなら孵化させるためには時間や道具・知識が必要になるからです。
私はコリドラスをメインに複数の生体にブラインシュリンプを長期的に与えて繁殖に成功しています。
この記事では経験をもとに最小限の手間でブラインシュリンプを孵化させる方法を解説します。
この記事を読むとブラインシュリンプを必要な分だけ簡単に与えることができるようになるよ。
-
少量なら皿式で沸かすと手間がかからず与えるのが面倒になりづらい
-
手間と沸かせられる量が多いのがエアレーション式、少ないのが皿式
-
皿式でも容器の数や形状を工夫すると沸かすことができる量は増える
-
湿気や水深・卵の入れすぎに注意すると孵化率を高くすることができる
ブラインシュリンプとはエビのようなプランクトン
ブラインシュリンプはエビのような見た目をしたプランクトンの一種であり、学名からアルテミアと呼ばれることもあります。
卵の状態で販売されており、乾燥状態でも塩水に漬けることで孵化します。
必要な量だけを孵化させることができ、保管や管理が簡単なのがメリットです。
孵化したてのブラインシュリンプはヨークサックと呼ばれる栄養袋を持っており、嗜好性や栄養価が非常に高い餌です。
繁殖を目的とする場合に熱帯魚などに与えられることが多く、アカムシと並んで栄養価の高い餌として知られています。
関連記事>>>【大容量で安い】富城冷凍アカムシがコリドラスにおすすめの餌な理由4選
ブラインシュリンプは1匹が非常に小さく稚魚でも食べることができるため、稚魚の生存率を飛躍的に高めることができます。
繁殖目的の成魚から稚魚の飼育まで幅広く対応できるおすすめの餌の1つです。
関連記事>>>【餌付け簡単】水槽環境に合わせて選ぶコリドラスにおすすめの餌11選
ただし、孵化までに時間や手間がかかり、人工飼料のようにすぐに与えることができず、与える量によって孵化させる方法も変化するため知識が必要になります。
ブラインシュリンプの沸かし方の種類
エアレーション式
ブラインシュリンプの沸かし方にはエアレーション式と皿式の2種類があります。
エアレーション式は容器にエアレーションを設置する方法で、塩水の酸素濃度を高く保てることが特徴です。
勘違いとして多いのは、酸素はエアレーションの泡から溶け出すのではなく大半は水面から補給されるということです。
エアレーションは水面の酸素を多く含んだ塩水を全体に循環させる水流を作ることが役割で、容器全体が酸素を多く含んだ状態を保てるようになります。
ブラインシュリンプの孵化には酸素が必要なため、酸素濃度が高い状態を保てるエアレーション式であれば、一度に大量のブラインシュリンプを沸かすことができます。
複数の成魚にたっぷりと与える場合や大量の稚魚を飼育している場合に適した孵化方法です。
デメリットとしては塩水の消費が多いため頻繁に作る必要があることと、エアレーションが必要なため設置に手間がかかることです。
少数で飼育している場合などブラインシュリンプの量が少なくてよい場合は沸かすのが面倒です。
市販の孵化器などはすべてエアレーション式で孵化させています。
市販の孵化器ではニチドウのハッチャー24が有名です。
皿式
皿式はエアレーション式ほど一度に大量のブラインシュリンプを沸かすことはできませんが手間のかからない孵化方法です。
方法は簡単で容器に塩水とブラインシュリンプの卵を入れるだけで、エアレーションなどは不要です。
エアレーションを設置しないため、孵化容器の中に水流が発生せず、水面と底で酸素の量に差が発生しやすくなります。
ブラインシュリンプの卵の孵化には酸素が必要であり、卵の大半は水に沈むため、酸素濃度の高くない状態で孵化させるため大量に沸かすことができません。
少数の生体に与える場合に適した孵化方法です。
しかし、孵化容器の形状や数を増やすことで沸かす量もある程度増やすことができるため、アクアリウムを個人の趣味で楽しむ程度であれば皿式で十分な場合が多いです。
手間がかからず必要な道具も少ないため、ブラインシュリンプを与えたことがない人は皿式から始めてみるとよいです。
-
エアレーション式はたくさん沸かすのに適している
-
皿式は少量しか沸かせないが手間がかからない
-
酸素は水面から供給される
-
容器の形状や個数を工夫すれば皿式でも孵化量を増やすことができる
皿式でのブラインシュリンプの沸かし方
グラスを用意する
最初にブラインシュリンプを孵化させる容器を準備します。
どんな容器でも孵化させることはできますが、グラスで孵化させるのが使いやすくておすすめです。
グラスの特徴は透明でなるべく底が広いものがよいです。
後に説明しますが透明だと光でブラインシュリンプを1点に集めやすいです。
酸素は水面から水中に溶けだすため水面をなるべく広くとれる底の広いグラスの方が酸素の供給量が増え、沸かすことができるブラインシュリンプの最大量が増えます。
グラスは100均で購入できるもので十分だよ。
関連記事>>>【100均で節約】ダイソーで揃う使いやすいアクアリウム用品17選
また、グラス1つで孵化できる量では足りない場合は複数のグラスを使うことで簡単に孵化させる量を増やすことができます。
ペットボトルに塩水を作る
ブラインシュリンプは塩水の湖に生息する生き物で、塩水に漬けなければ孵化させることができません。
孵化用の塩水は水道水と食塩を混ぜることで簡単につくることができます。
塩はなんでもよいですが塩水浴にも同じ塩を使えるように余分な成分の入っていないもののほうが安心で価格も安いです。
どこのスーパーでも購入することができます。
塩水浴に使用する可能性があり、どれを買えばよいのかわからないという人はアクアリウム用の塩も販売されています。
分量はブラインシュリンプのパッケージに記載された量で作るようにしましょう。
大体水1ℓに対して20gの塩を混ぜて2%程度の濃度で作ることが多いです。
こまめに塩水を作るのは面倒なため、2ℓペットボトルなどにまとめて作り置きしておくと楽になります。
また、塩の量を量る場合はペットボトルのキャップ1杯がほぼ10gなので2ℓ作る場合は4杯入れれば量らなくても簡単につくることができます。
グラスに塩水と卵を入れる
塩水が作れたらグラスの中に塩水とブラインシュリンプの卵を入れます。
ブラインシュリンプの孵化には酸素が必要であり、卵を入れすぎてしまうと酸欠で孵化率が悪くなったり、孵化してもすぐに死んでしまう可能性が高くなるため少なめに入れるようにしましょう。
私はグラス1つあたり以下のスプーン摺り切り1杯入れています。
卵の入れすぎについては『卵を入れすぎない』で詳細を説明しているよ。
塩水も入れすぎは厳禁で、エアレーションを設置しない皿式では水深を深くすると水面から溶けた酸素は底まで行き渡りません。
水深については『水深を浅くする』で詳細を説明しているよ。
ブラインシュリンプの卵の多くは水に沈むため、酸素不足で孵化率が悪くなります。
水深は1cm以下にするのがおすすめです。
24時間孵化を待つ
卵の孵化には最低でも24時間必要です。
急に必要になっても沸かすことはできませんので計画的に準備しなければいけません。
また、ぴったり24時間で孵化するのではなく環境や卵によって孵化する時間は異なります。
24時間での孵化は水温が28℃の場合のため、実際は遅くなる場合が多いです。
卵によっては3日ほどかかる場合もあるため、24時間で捨ててしまわずに沸いた分だけ与えて3日ほどは様子を見たほうが良いです。
水面を確認して小さな生物が動いていれば孵化が始まっています。
光を当てて1か所に集める
孵化した後は集めて生体に餌として与えます。
ブラインシュリンプは光に集まる習性があるため、グラスの外側から光を当てることで簡単に1か所に集めることができます。
だから透明のグラスがいいんだね。
複数のグラスで沸かした場合もグラスを横に並べることで一気に集めることが可能です。
ライトはある程度の光量があればなんでもよいですが、電池交換は面倒かつランニングコストがかかるため、充電式がおすすめです。
私は自転車用のライトを使っています。
なければ携帯のライトでも代用可能です。
携帯のライトを使う場合は孵化容器がプラスチック製などの軽いものだと携帯の重さで倒してしまうため必ずグラスなどの重たいものを使うようにしましょう。
集まったブラインシュリンプをスポイトで吸い取る
光を当てると5~10分程度でブラインシュリンプが集まってきます。
集まっている場所をスポイトで吸うことで効率よく吸い出すことができます。
スポイトは点滴法での水合わせにも使用するため1個は持っておいた方が良いです。
関連記事>>>【自作で簡単点滴法】コリドラス飼育におすすめの水合わせ方法を徹底解説
ブラインシュリンプが集まっている箇所から吸い出すため、最低限の塩水で吸い出すことができ、陰性水草など比較的丈夫な水草であれば、そのまま与えても問題ありません。
水槽内に敏感な水草を育成している場合は塩水で調子を崩してしまう可能性があるから濾し器などを使おう。
私は丈夫な陰性水草しか育成していないのでそのまま与えています。
関連記事>>>【育成簡単】コリドラス飼育におすすめの活着する陰性水草5選
-
容器は透明で底が広いグラスがおすすめ
-
塩水は商品パッケージ記載の濃度でたくさん作っておくと楽
-
卵と塩水の入れすぎに注意
-
光で集めると与えるのが楽
孵化率を高くする方法
湿気を防ぐ
ブラインシュリンプの卵は湿気に弱く、湿った卵は孵化率が著しく低下してしまいます。
卵はチャック付きの袋に包装されているため、使用後はすぐに袋の中の空気を抜いてしっかりとチャックを閉めるようにしましょう。
開けたまま放置や、閉め方が甘く一部開いていたということはよくあるため注意が必要です。
一度開封したブラインシュリンプは湿度の低い冷蔵庫で保管するのがおすすめです。
水深を浅くする
皿式で孵化させる場合はエアレーションを使用ないため、水深を浅くする必要があります。
エアレーションがないと容器の中に水流が発生しないため、酸素が豊富に溶け込んだ水面の水は表面にとどまってしまい底まで酸素が行き届きづらいです。
ブラインシュリンプの孵化には酸素が必要ですが、卵の大半は水に沈むため水深を深くするほど酸素が少なく孵化しずらい環境になってしまいます。
水深は1cm以下にすると酸素不足になりづらく、孵化率を高めることができます。
適切な塩分濃度の塩水を作る
皿式で孵化させたとしても、塩水を作るのは手間に感じてしまうことが多いです。
最初はしっかりと量っていても、慣れてくると目分量で作りたくなってしまいます。
しかし、塩分濃度は孵化率に影響するため、しっかりと商品パッケージに記載の塩分濃度を測って作るようにしましょう。
一度にたくさんの量の塩水を作ることで手間を緩和することができます。
おすすめは2ℓペットボトルいっぱいに作ることです。
卵を入れすぎない
よくある失敗は卵を入れすぎてしまうことです。
皿式では孵化できる量が限られますが、なるべく多く孵化させようと欲張ってしまうことで起こります。
皿式では水流がないため、たくさん卵を入れると酸素不足で孵化しなかったり、孵化しても死んでしまいます。
死骸は水を汚すため、水量の少ない皿式ではすぐに水質が悪化してしまい、汚れた水によってブラインシュリンプが死んでしまうという悪循環になってしまいます。
一度に沸かせる量は1グラスあたり0.1g以下にし、もっと沸かせたい場合は複数のグラスを使用するか底の広い容器を使用すると良いです。
重さは0.1g以下のため測定できませんでした。私はピンセットスプーン摺り切り1杯を目安に孵化させています。
きれいなグラスを使用する
ブラインシュリンプを沸かすグラスは使用前にしっかりと洗うことが重要です。
よくある失敗は前回ブラインシュリンプを沸かしたまま放置し、残った塩水が乾燥した状態から水でさっと流してそのまま使うことです。
水で流しても乾燥している場合は汚れがとれないことが多く、そのままブラインシュリンプの卵を入れてしまうと塩水が汚れてブラインシュリンプの孵化率が低下してしまいます。
グラスはブラインシュリンプを沸かせたら乾燥してしまう前に洗うか、乾燥してしまった場合はスポンジ等でしっかりとこすって汚れを落としてから使用するようにしましょう。
明るい部屋で沸かす
ブラインシュリンプの孵化率には光も影響を与えます。
暗い部屋よりも日当たりのよい明るい部屋で沸かした方が孵化率が高くなります。
ただし、皿式は少ない塩水で孵化させるため、直射日光を当ててしまうと水温の変化が激しくなるため避るようにしましょう。
水槽の照明の光が届く場所とかでもよいです。
逆に真っ暗の場所は孵化率が落ちてしまうため、日当たりの良い部屋の直射日光の当たらない明るい場所で孵化させるのが良いです。
水温は28℃に保つ
ブラインシュリンプの適温は28℃です。
水温を28℃に維持すると短時間で孵化しやすく、孵化率も高くなります。
ブラインシュリンプが24時間で孵化するとされているのは水温が28℃に保たれていた場合だよ。
夏場であれば特に気にせずとも28℃付近になりますが、冬場は水温が著しく低下するため孵化率が低下します。
冬場の水温維持でおすすめなのは水槽の水温を利用することです。
熱帯魚の飼育水槽は水温を26℃付近に設定することが多いため、小型のサテライトを利用して水槽の内側に容器がくるように設置すると水温で温めることが可能です。
実は私は水温管理はせずに冬も夏と同様にグラスで沸かします。
どこまで孵化率を高めたいかで実施することとしないことを選ぶといいよ。
まとめ
ブラインシュリンプは栄養価が高く積極的に与えたい餌です。
卵を塩水に漬けることで孵化させることができるため、管理や保管がしやすいのが特徴です。
孵化方法にはエアレーション式と皿式があり、個人でアクアリウムを楽しむ程度であれば手間のかからない皿式で十分なことが多いです。
湿気や水深・卵の入れすぎに注意すると孵化率を高く保ちながら効率よく与えることができるようになります。
ブラインシュリンプを安定して与えられるようになると生体を健康に保ちやすくなり、繁殖する確率もぐっと高くなります。
しかし、皿式は手間のかからない優れた孵化方法ですが、大量に沸かすことができないのがデメリットであり、生体の飼育数が多い人は十分な量を沸かすことができません。
大量に沸かすためにはエアレーション式が有効です。
エアレーション式には孵化器を購入するのが一般的ですがペットボトルで簡単に自作することも可能です。
孵化器の自作方法は以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事>>>【ペットボトルで簡単】ブラインシュリンプ孵化器の自作方法とコリドラスへの与え方