- 水合わせを行う理由を知りたい
- 熱帯魚に負担の少ない水合わせを知りたい
- 点滴法での水合わせ方法を知りたい
- 点滴法での水合わせに必要な時間の目安を知りたい
- 水合わせ後にコリドラスの呼吸が早いのは失敗か知りたい
このような悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか?
実は水合わせは非常に重要な作業であり、方法を間違えると生体が突然死してしまう原因にもなります。
なぜなら熱帯魚はしっかりと水合わせを行わずに水質の異なる水に入れてしまうとショックを起こしてしまい、購入後1週間以内に生体が死んでしまう原因の多くが水合わせの失敗だからです。
この記事では点滴法を用いた生体に負担の少ない水合わせ方法を解説し、コリドラスの水合わせ後の動きから水合わせが失敗しているかどうかを見分ける特徴をご紹介します。
この記事を読むと熱帯魚の水合わせで失敗することがなくなり、水合わせ後のコリドラスの体調がわかるようになるよ。
水合わせ方法はコリドラスを例に説明しますが小型の熱帯魚であればどの熱帯魚でも使える方法です。
- 水合わせは水質の変化によるストレスを緩和することが目的
- 点滴法でじっくりと水合わせすると失敗することはほとんどない
- 水合わせ後の生体の動きを観察することで成功か失敗か見分けることができる
- 水合わせの時間は30分~1時間程度を目安にするとよい
- サテライトを用いた水合わせはおすすめしない
コリドラス飼育の全体の流れは以下の記事で解説しています。
関連記事>>>【初心者でも難しくない】元気に長生きさせるコリドラスの飼育方法
水合わせとは水質の変化によるショックを少なくする作業
新しく熱帯魚を購入した場合や現在飼育している水槽とは別の水槽に移す場合、熱帯魚からするともともと生活していた水質とは異なる水質に変化することになります。
何もせずにドボンといきなり別水槽に入れてしまうと水質の急激な変化が熱帯魚にとって大きなストレスとなってしまいます。
場合によってはpHショックを起こして病気になったり、最悪死んでしまうこともあります。
対策としてもともと生活していた水に新しい環境の水を少しづつ混ぜることによって新しい水質に徐々に慣らしてあげることができ、移動時のストレスを少なくすることができます。
この作業のことを『水合わせ』といいます。
熱帯魚の種類や、コリドラスの中でも種類によって水質の変化に強い種類と敏感な種類が存在しますが、水合わせ自体は必ず行う必要があります。
水合わせは点滴法で行うのが良い
水合わせには複数の方法が存在しますが最もおすすめなのは点滴法を用いることです。
点滴法とはもともと熱帯魚が生活していた水に移動先の水槽の水を病院で受ける点滴と同じように1滴ずつ混ぜることによって、熱帯魚を新しい水質に徐々に慣らしてあげる方法です。
少しずつ水を混ぜていくため水合わせに時間を必要としますが、その分水質は緩やかに変化するため熱帯魚にストレスを与えづらく、水合わせに失敗する可能性が低い方法です。
コリドラスに対して水合わせする場合は種類に関係なく点滴法で水合わせするのが良いです。
自作で簡単にできる点滴法による水合わせ方法
アクアリウムに必要な道具だけで簡単に自作で点滴法が行える方法を紹介します。
『自作』というと難しく感じるかもしれませんが何も作る必要はなく、エアーチューブを結ぶだけでとても簡単です。
道具の準備をする
点滴法による水合わせに必要な道具はバケツ、エアチューブ、スポイト、ネット、クリップの5つです。
ネットとスポイトは上記のような長いタイプのものだと手が濡れずに作業ができて便利です。
クリップはうまく固定すればなくても良いですが、その他はアクアリウムにおいて使用頻度の高い道具であり、コリドラス飼育では必須の道具ですので必ず揃えておきましょう。
コリドラス飼育に必要な道具については以下の記事を参考にしてください。
関連記事>>>【コリドラス飼育セット】熱帯魚初心者が準備しておくべき道具14選
また、100円ショップをうまく活用すると安価に道具を揃えることができます。
関連記事>>>【100均で節約】ダイソーで揃う使いやすいアクアリウム用品17選
道具を揃えたら水槽よりも低い位置にバケツを設置しましょう。
これはサイフォンの原理を使って水を吸いだすため、水の吸い出し元が吸い出し先よりも高い位置にある必要があるからです。
エアチューブの片側の先は吸い出し元となる水槽にいれてクリップで固定します。
エアチューブだらけで見づらいですが一番手前のエアチューブです。
クリップでの固定はしなくてもよいですが、チューブがつるんと出てきて水がかかったり、床を濡らしてしまう可能性があるのでつけておいたほうが無難です。
また、クリップでチューブ自体を締め付けるようにとめてしまうと水がチューブの中を流れなくなってしまうので注意が必要です。
クリップがなければテープでとめてもいいし、チューブが動かないように固定できればなんでもいいよ。
エアチューブの先は水槽のサイズにもよりますが、ある程度の量の水を吸い出すので15cm以上は水の中に入れておきましょう。
エアチューブの反対側の先は先端を軽く結んで水槽より低い位置に設置したバケツの中に入れておきます。
結びの強さで点滴の流量を決めるため慣れないうちは少しきつめに結んでおいてもよいでしょう。
水温を合わせる
新しく購入した熱帯魚を飼育水槽に入れる場合は必ず温度合わせをする必要があります。
サテライトでトリートメントを行った場合など、水温が同じ水槽間の生体の移動の場合は温度合わせは不要です。
関連記事>>>初心者でもできるコリドラス飼育におすすめのトリートメント方法
トリートメントを実施している場合は温度合わせの工程は飛ばしてください。
冬は特に購入した熱帯魚の入っている水の水温と飼育する水槽の水温に差があり、そのまま冷たい水に温かい水を混ぜて水合わせすると熱帯魚がびっくりしてしまいます。
まずは購入した袋に入ったままの状態で飼育する水槽に浮かべて水温を同じ温度に合わせる必要があります。
購入時の状態のまま水槽に浮かべてあげるだけだよ。
購入時の袋の中の水量はそこまで多くないので、30分程度水槽に浮かべておけば水槽と同じ温度になります。
エアチューブを使って少しずつ水を混ぜる
温度合わせが終わったら熱帯魚をバケツに移しましょう。
新しく購入した熱帯魚の場合は購入時の水をそのまま、トリートメント後の場合はトリートメント容器内の水を熱帯魚と一緒にバケツに入れます。
最終的には飼育水槽の水質に慣れさせたいため、もともと熱帯魚が泳いでいた水が多い場合は一部を捨ててください。
もともとの水はバケツ1/4くらいあれば十分です。
次にバケツ側の結んだエアーチューブの先をスポイトで吸ってあげます。
口で吸ってもいいのですがエアチューブに口をつけることや吸いすぎると水槽の水が口の中に入ったりする場合があるのでスポイトを使うほうがおすすめです。
エアチューブとスポイトの先をしっかりとくっつけて結合部分を指で軽く押さえながらスポイトで吸ってあげると簡単に水が吸い出せます。
エアーチューブの結びがきつすぎると水が吸い出せないので、様子を見て緩めてあげるといいです。
エアチューブの先から水が出てきたら、結びの強さを変えて水量を調節します。
ポタポタと水滴1粒1粒が確認できる程度の水量にしましょう。1秒間に3~4粒程度の水量がおすすめです。
あとはバケツが一杯になるまで待ちます。
熱帯魚を飼育水槽に移動する
バケツが飼育水槽の水で一杯になったら、水合わせ中の熱帯魚はほぼ飼育水槽の中と同じ水質にいることになるので、ネットですくって飼育水槽に移動させます。
水槽に入れた後しばらくは熱帯魚の様子を観察してあげてください。
エラの動きが激しく呼吸が荒い程度であればしばらくするとおさまりますが、横たわってしまった場合は水合わせ失敗の可能性が高いです。
とはいえもうできることはないため、調子が悪そうだとしても後は祈りながら待つしかありません。
変に手を加えてもさらに症状を悪化させてしまう可能性の方が高いのでやめておきましょう。
うまくいっていれば5分もすれば元気に泳ぎ回るはずです。
- バケツ、エアチューブ、スポイト、ネット、クリップの5つは事前に準備しておく
- 新しく購入した熱帯魚の場合は水面に浮かべて温度合わせを行う
- エアーチューブの結びの強さで水量を調節する
- 水合わせ終了後は熱帯魚の様子をしばらく観察する
点滴法での水合わせに必要な時間の目安
水合わせの時間は30分~1時間程度
水合わせにはもともとの水に飼育水槽の水を混ぜる『早さ』と、『量』の2つが重要になります。
混ぜる早さはゆっくりのほうが良いですし、混ぜる量は多い方が良く、この2つが両立して初めて水合わせは成功します。
たとえ混ぜる量が多くても、一気にザバーッと混ぜてしまうと失敗しますし、逆に混ぜる早さをゆっくりにしても混ぜる量が少なければ失敗してしまいます。
ではどれくらいの早さでどれくらいの時間水合わせすれば成功しやすいのかというと、まず早さについては大体1秒間に3,4滴ほどの早さが良いです。
ポタっポタっと水滴の1粒1粒がしっかり見えるくらいの早さで混ぜていきましょう。
また、混ぜる量については水合わせする容器にもよりますが、8ℓバケツだとコリドラスの体高の倍ほどまでもともとの水を入れて点滴法により水を混ぜていき、大体バケツの7~8割まで水が入ったら水合わせを終了します。
時間の都合上早めに切り上げることも可能ですが大体30分~1時間程度で水合わせをするとよいです。
水合わせ中に他のことをする場合は水合わせしていることを忘れて長時間放っておいてしまい、バケツから水があふれてしまうことがあるのでタイマーをかけるなど注意が必要です。
長すぎる水合わせは逆効果
水合わせはじっくりと時間をかけて行うことが大事ですが、長ければ長いほど良いかというとそういうことでもありません。
ほとんど水流のない水合わせ容器の中では水面からしか酸素を取り込めないため、複数の熱帯魚を一気に長時間水合わせすると酸欠になる可能性があります。
酸欠だけであれば水合わせ容器の水をエアレーションしてあげることで解決できますが、冬場であれば水量の少ない水合わせ容器の中の水温はが低下していき飼育水槽との温度差が発生してしまいます。
水質に非常に敏感な熱帯魚でない限り、水合わせ時間は30分~1時間程度かければ問題なく成功します。
- 混ぜる早さはゆっくりと、混ぜる量は多く。
- 1秒間に3,4滴の早さで混ぜていくとよい。
- 水合わせ時間は30分~1時間を目安に。長すぎてもよくない。
呼吸の早さや動きからわかるコリドラス水合わせ後の失敗症状
呼吸が早い
危険度:★☆☆
水合わせ後にコリドラスのエラが普段よりも早く動いている状態です。
他に紹介する状態と複数個同時に起きている場合は別ですがエラの動きだけであれば特に問題はありません。
水合わせ時にはどうしても網ですくったり、環境が変化するためコリドラスにある程度のストレスがかかってしまうのは仕方のないことです。
環境の変化に驚いて呼吸が早くなってしまうのは高い確率で起きる現象です。
心配な場合はしばらく様子を見てあげて、徐々に落ち着いてくるか確認してあげましょう。
気になったのがエラの動きだけであれば水合わせは成功している可能性が高いです。
落ち着いているときはエラはほとんど動いてないよ。
じっと動かない
危険度:★☆☆
水合わせ後に水槽底面でじっとして動かなくなる状態です。
水合わせ後にはよくみられる現象で、呼吸が早くなるのとセットで観察されることが多いです。
原因も呼吸が早くなるのと同じで環境の変化に驚いている状態なので、特に心配する必要はなく落ち着くまで待ってあげましょう。
個体にもよりますが5~10分もすれば水槽内を泳ぎ始めることが多いです。
すでに水槽内で同じ種類のコリドラスを飼育している場合は、飼育水槽に入れると同種のコリドラスを見つけた瞬間嬉しそうに駆け寄っていくこともあります。
暴れる
危険度:★★☆
コリドラスを飼育水槽に移動した途端に大暴れするパターンです。
水槽に移した瞬間に少しだけ暴れる程度なら良いのですが、水槽中をぶつかりながら泳ぎ回って暴れているようであれば水質の違いによるショックを受けています。
水合わせとしては失敗の可能性が高く、飼育水槽の水を一気に混ぜすぎたか、水合わせの時間が短すぎたかどちらかだと考えられます。
コリドラスに負担がかかっていることは間違いないですが、その個体の体力次第では立て直す可能性もあります。
また、当然ですが幼い個体よりも成魚の方が体力がありますし、体の小さな個体よりも大きな個体のほうが体力があるので立て直せる確率は高くなります。
幼い個体や小さな個体を水合わせするときは特に注意が必要です。
横たわる
危険度:★★★
水合わせ後に飼育水槽に移動させたら水槽の底に横たわってしまう状態です。
最初に大暴れした後に横たわってしまうというパターンが多く、明らかに水合わせ失敗によりコリドラスに大きな負担がかかっており、最悪死んでしまう可能性もあります。
とはいえ他の症状でも同じですが基本的に水合わせ失敗に気付いたとしても後からできることはなく、その個体の体力を信じて見守るしかありません。
失敗に気付いてから飼育水槽から出して水合わせ前の水の中に戻しても逆にストレスを与えるだけであり、状況は悪化してしまうためです。
コリドラスの体力によっては立て直すこともあるのでその可能性に賭けるしかありません。
次回から同じようなことにならないように今回の反省点をしっかりと振り返りましょう。
ただし水合わせ失敗の場合はその場では元気に泳ぎだしたように見えても数日後に急に死んでしまうこともあるため、コリドラスがどれだけダメージを受けたかはしばらく飼育してみないとわかりません。
- 危険度★:呼吸が早い、動かない ⇒ しばらくすると普通に泳ぎだす
- 危険度★★:暴れる ⇒ 強いストレスを受けたのは間違いない
- 危険度★★★:横たわる ⇒ 明らかに水合わせ失敗
サテライトでの水合わせはおすすめできない
点滴法による水合わせは、道具も必要ですし、時間も手間もかかります。
こんなにめんどくさいことをしなくてもサテライトを使えば簡単に水合わせができるのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんがサテライトでの水合わせはお勧めしません。
確かにサテライトは飼育水槽から少量の飼育水をサテライト内に吸い上げてくれるため、サテライト内にコリドラスがもともと生活していた水とコリドラスを入れておけば、あとは放っておくだけです。
しかし、サテライトの容量はLサイズでも2ℓと少ないため、飼育水を吸い上げる量に対して少なすぎ、点滴法に比べて水質の変化が激しくなります。
また、この方法ではともともとコリドラスが泳いでいた水と飼育水槽の水が混ざることになります。
もともとコリドラスが泳いでいた水が絶対に安全であるという確証があるならよいですが、そうでない場合は水の中には菌や寄生虫が存在する可能性があるため混ぜない方が良いです。
まとめ
水合わせとは水質の異なる水槽に生体を移すときに水質の違いによるショックを軽減するための作業です。
水合わせには方法がたくさんありますが最もストレスの少ない点滴法での水合わせがおススメです。
水合わせには30分~1時間程度時間をかけてゆっくりとなるべく多くの水を混ぜることが大切です。
水合わせ後はしばらく熱帯魚の様子を観察してあげると、水合わせに成功しているかどうかがわかります。
コリドラスにおいては呼吸が早い・動かない・暴れる・横たわるなどが観察されることが多く、それぞれの状態に応じて危険度が異なります。
飼育するのを楽しみにしていた生体に対して水合わせで失敗してしまうのは非常に悔やまれることです。
飼育水槽で元気に過ごしてもらうためにも点滴法をしっかりとマスターしておきましょう。
水合わせができたら飼育水槽内でコリドラスの飼育が可能になります。
長く健康にコリドラスを飼育するためにも正しい水換えの方法について知っておきましょう。
関連記事>>>初心者でもできるコリドラス飼育におすすめの水換え方法【9つの手順】
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