【水位と吐出量で対策】スドーサテライトと水槽の水温差を徹底検証

コリドラスの道具
  • サテライトと水槽の水温差を知りたい

  • サテライトや水槽の一日を通した水温の変化を知りたい

  • 室内の温度が水槽やサテライトに与える影響を知りたい

このような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?

実は生体の隔離や稚魚の飼育などに役立つサテライトですが、サテライトは水槽との水温差が大きくなることが考えられます。

なぜならサテライトはエアリフト式であり調子の悪い魚や稚魚を飼育するため、水流を弱くすることが多く、サテライト内を水が循環しづらい環境になっていると考えられるからです。

この記事では1日のサテライトと水槽の水温を測定し、冬に生じる水温差を明らかにしました。

コリパン
コリパン

この記事を読むとサテライトに水温差を発生させない方法や、水温差を考慮した運用ができるようになるよ。

結論
  • サテライトと水槽の水温差には水槽の水位が大きく影響する

  • 水位を高くすることで小型エアーポンプでも水温差は1℃以下にできる

  • 外気温よりも水流のほうが水温差に影響する

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スドーサテライトの特徴

スドーサテライトL

サテライトはスドーが提供する水槽と水を共有できる隔離ボックスです。

小型魚の産卵や体調の悪い魚・喧嘩をする魚の隔離、稚魚の飼育など幅広い使い方ができます。

関連記事>>>【小型熱帯魚飼育の必需品】スドーサテライトLの使い方を徹底解説

アクアリウムをするなら1つは用意しておきたい便利な道具であり、サイズもS・標準・L・スリムなど豊富で使用用途によって使い分けることができます。

エアリフト式で水槽内の水をサテライト内に供給するため、別途エアーポンプを用意する必要があります。

サラコリ
サラコリ

スターターセットなら必要なものはすべて揃っています。

サテライトに水温差が生まれやすい2つの理由

サテライトへの給水

水流が弱い

サテライトは体調を崩した魚や稚魚の飼育に使われることが多い道具です。

どちらも生体の体力を消耗させたくないため、水流を弱くして使用することが多いです。

サテライトの場合、水流を弱くするには水槽からの給水量を少なくする必要があり、サテライト内に水が滞留する時間が長くなるため室温の影響を受けやすくなります。

水量が少ない

水槽はよほどの小型でないかぎり20~30Lは容量があるのに対して、サテライトは最大であるLサイズでも2Lです。

水量が少ないほど室温の影響を受けやすくなってしまいます

水槽の中に浮かべるタイプの隔離ボックスであれば、水槽の水を共有できたり熱が伝わりやすいですが、サテライトは水槽の外側に設置するためサテライトに給水した水からしか熱が伝わりません。

POINT
  • 容量が小さく水流を弱くすることの多いサテライトは水温差が発生しやすい構造

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サテライト水温差測定の試験条件

水温差測定画面

水槽とサテライトの水温差を調べるにあたって冬(1月)に以下の条件で試験を実施しました。

計測器

計測器はデータロガーにT型熱電対を取り付けて水温を測定します。

5秒ごとに水温を取得し、24時間連続で測定します。

データロガーと熱電対

水槽の条件

機器 製品名
水槽 60cm規格水槽(蓋なし)
フィルター GEX メガパワー6090
RedBeryl ダブルスポンジフィルター × 2
ヒーター エヴァリス マイクロセーフパワーヒーターCV100 × 2
サテライト スドー サテライトL
サテライト用
エアーポンプ
GEX e‐AIR 1000SB

60cm規格水槽に外部フィルター(拡散吐出口)を設置して水槽内に水流を発生させ、100W×2のヒーターで設定温度をしっかりと保てるようにします。

ヒーターの設定水温は熱帯魚の飼育では一般的な26℃で実施しました。

サテライトは隔離や稚魚の飼育として使いやすいLサイズとし、サテライトへの給水は水流は弱いほうが水温差が発生しやすいため、GEXのe-AIRシリーズで最も吐出量の少ない1000SBを採用しました。

サラコリ
サラコリ

GEX e-AIR 1000SBの吐出量は約0.8L/分(50Hz) / 約0.6L/分(60Hz)です。

コリパン
コリパン

60Hzの地域で試験しているよ。

GEX e‐AIR 1000SB

測定箇所

温度の測定箇所は以下の3点です。

  1. サテライト水温:サテライト中央の底付近
  2. 水槽水温:水槽前面の中層
  3. 室内温度:水槽上部
サラコリ
サラコリ

実際の測定の様子はそれぞれ以下の通りです。

サテライト内水温測定箇所

水槽水温測定箇所

室内温度測定箇所

POINT
  • 水槽は60cm規格水槽で設定水温を十分維持できるようにする

  • Lサイズのサテライトに吐出量の少ないエアーポンプで水温差が起きやすい環境を作る

水温差測定結果

水温差測定環境

測定の結果以下のようになりました。

サテライト_水槽水温測定2

  サテライト水温 水槽水温 室内温度 サテライト-水槽差
最高 25.8 26.6 21.5 1.6
最低 24.6 25.5 15.9 0.3
1.2 1.1 5.6 1.3
サラコリ
サラコリ

グラフ水色のサテライトと水槽の水温差のみ縦軸が2軸なので注意してください。

住んでいる地域が比較的暖かいため、冬でも室内は温度が高く最低室温は15.9℃であり、その時のサテライトと水槽の水温差は1.6℃でした。

ただし、もっと寒い地域にお住まいの方もいると思いますので参考になるように、同条件で窓を1日中開けて室温を下げた状態で2回目の測定を実施しました。

サテライト_水槽水温測定

  サテライト水温 水槽水温 室内温度 サテライト-水槽差
最高 26.2 26.5 20.6 1
最低 25.2 25.8 12.5 0
1 0.7 8.1 1

サテライトと水槽の水温差が最も大きくなるのは、室温が12.5℃まで下がる明け方7:00ごろで1℃でした。

1回目の結果と比べ、室温は下がっているのに温度差は小さくなりました。

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試験結果からわかったこと

ニチドウ マルチ水温計H

水位による影響が大きい

1回目の試験と2回目の試験では2回目の試験の方が室温が低いにも関わらず水温差は少ないという結果になりました。

原因は水槽の水位が異なったからだと考えられます。

実は1回目と2回目の試験の間に水換えを実施しており、1回目の試験実施時の水位は水槽上部から6.5cmの位置であったのに対して、2回目の試験は3.5cmまで上昇していました。

1回目の試験の水位

2回目の試験の水位

サラコリ
サラコリ

試験水槽ではコリドラスを飼育しており飛び出し防止のため3cm以上水位を下げるようにしています。

サテライトは水槽外部に設置してエアリフト式で水を供給するため、水槽水位が高いほど水の供給量は増えます。

2回目の試験は水温は下がりましたが水の循環量が増えたために水温差は少なくなったと考えられます。

つまり水槽がしっかりと設定水温を維持できる環境であれば室温よりも水流のほうが水温差に影響するということがわかります。

室温の影響を受ける

1回目、2回目の試験ともにサテライトと水槽の水温差が最大となったのは室温が最低になる朝7:00ごろでした。

よってサテライトは室温の影響を受け、室温との温度差があるほど影響は大きくなります。

今回は冬に試験を実施しましたが、夏の場合は水温が最高になる13:00~15:00の間に水温差が最大になると考えられます。

水槽とサテライトの水温差は1.6℃

今回の試験では水槽とサテライトの最大水温差は1.6℃となりました。

また、以下3つの条件次第では水温差はさらに大きくなると考えられます。

  1. 水槽の水位を低くする
  2. 吐出量の少ないエアーポンプを使用する
  3. 室温を低くする

しかし、1.については生体の飛び出し対策をするにしても6.5cm以上水位を下げることは稀かと思いますし、2.についても今回使用したエアーポンプより吐出量の少ない製品は多くありません。

よって考慮すべきは3.のみであり、試験環境より寒い地域では、さらに水温差が大きくなる可能性があるため注意が必要です。

室温の最低水温がわからない場合は今回の試験のようにデータロギングをしなくても、最低温度だけならアクアリウム用の水温計で室温も測定できる機能がある商品が存在します。

関連記事>>>機能で選ぶ熱帯魚水槽におすすめの水温計ランキング【アナログ・デジタル混合】

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サテライトの水温差対策方法

サテライトの給水

試験結果より以下のことに気を付けるとサテライトの水温差対策ができます。

水槽の水位を高くする

試験結果より水槽の水位を高くすることでサテライトへの水の供給量を増やすことができるため水温差が発生しづらい環境を作ることができます。

飼育する生体によって調整できる水位には限界がありますがサテライトの水温差だけを考慮すると水位はできるだけ高くしたほうがよいです。

ただし、水槽の水は時間経過で蒸発し水位が下がるため、足し水をすることも大切です。

吐出量の多いエアーポンプを使用する

吐出量の多いエアーポンプを使用することで水の供給量を増やすことができるため、水温差を発生させづらくすることができます。

サテライトの使用用途が体調を崩した生体の隔離や稚魚の飼育であり、あまり水流を発生させたくない場合は、今回試験で使用したエアーポンプより1段階吐出量の多いエアーポンプである1500SBがおすすめです。

また、水流に特に制限がない場合はさらに吐出量の多いエアーポンプを使用するか、サテライトを改造して水中モーターを取り付けるのもよいです。

水槽の水温を高く設定する

水温差が発生しないように対策するのではなく、水温差ありきで運用するという手段もあります。

今回の試験結果よりサテライトの最大水温差は1.6℃でした。

測定誤差などを考慮して2℃水温差が発生することを前提として、水槽水温を高めに設定するとよいです。

水槽とサテライトで飼育する生体次第ですが、例としては水槽水温を27℃に設定してサテライトの最低水温を25℃と想定して飼育などです。

コリパン
コリパン

温度設定が可変できるヒーターまたはサーモスタットが必要になるよ。

関連記事>>>コリドラス飼育におすすめのヒーター4選【ヒーターなしでの飼育方法も紹介】

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まとめ

水槽とサテライトの水温差を測定した結果、最大の水温差は1.6℃でした。

水温差が発生しやすい条件で試験していますが、室温がもっと低下する場合はさらに水温差が発生する場合があります。

サラコリ
サラコリ

試験内容に不明点などあれば気軽にコメントや連絡をください。

水温差を少なくするには①水位を高くする、②吐出量の多いエアーポンプを使用することが効果的であり、水温差ありきで水槽水温を高めに設定するという手段も有効です。

水温差が発生するとしても、サテライトは用途の多い優れた道具です。

飼育環境に応じて適切な水温差対策ができれば安定して生体を飼育することができるようになります。

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